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マリオ真章223

 困惑気味の高橋を他所に,さっさとエレベーターに乗り込む。
「行かないのかい?」
「あ、えっと......」
  高橋の背中に、周囲の耳目が集中する。耳をそばだてれば,「たかが訓練生」と僕との組み合わせについて,陰口や揶揄が聞こえてくるだろう。
 高橋の右側で輪になっていた連中が,彼をねめつけながら近づいて行く。
「艦長,誘う相手が間違ってるんじゃないですか?」
一番前にいる緑帽子の男が,こちらを振り返る。
「いや,彼であっている。彼はしかるべき報奨を受け取るだけの功績を残している。これから,それを授与するところだ」
「功績? へえぇ」
 男は,高橋に顔を寄せて上からしたまで観察して行く。高橋の表情に,さっと緊張が走る。男は顔をあげ,再び僕を見た。
「ただの訓練生が?」
「ああ。彼は先の戦闘で相応の結果を出した」
「相応の結果? 訓練生が? それはちょっと問題じゃないですか」
「そうか?」
「訓練生に重要な局面を任せて,万が一のことがあれば,艦長はどう責任を取るつもりで?」
「責任も何も,問題は起きなかった。だから,問題はない」
 男は,顔に少し苛立ちを浮かべながらこちらへ近づいてくる。視線は,僕の目,あるいは眉間を貫くように吸えられている。
「あまり独断専行がすぎるようなら,後々,上層部へ掛け合うことになりますよ」
 男の取り巻きが,高橋の逃げ場をふさぐように取り囲む。高橋は,不安げな表情を浮かべている。高橋の右手側の,自動ドアが開く。
 男は,僕の前で足を止めた。
「それはつまり、」
 男は、僕の胸ぐらに腕を伸ばす。それを合図に,高橋を囲んでいた取り巻きの一人が、彼に向けて腕を伸ばした。
「こういうことかな?」
僕は男の腕をつかみ、その体ごと壁に押し付ける。高橋の方に目をやると、ミヤモトが取り巻きの腕をつかみ、他の2人を睨みつけている。高橋は、後ろから来たミヤモトを見て、
「ありがとうございます」
「いや、いや。たまたま通りかかったら、体操をしてたみたいなんで」
ミヤモトが、こちらに顔を向ける。僕はそれに、少し意地悪く笑って返す。
宮本は、腕をつかんだ男を含む取り巻き3人に、視線を向ける。低く抑えた声で
「それで、まだやる?」
男たちは困惑したように、こちらをーー正確には僕が体を押さえつけている男の方へ顔を向ける。僕はその後頭部へ声をかける。
「どうなんだ?」
 男は、帽子を落とすのも構わず、こちらへ顔を向ける。男は渋い表情を浮かべている。僕は腕を話す。男は、床に押した帽子を拾い上げ、はたいてホコリを落とす。乱れた衣服を整え、帽子をかぶり直して、オーバーオールのポケットに両手を突っ込んだ。やや背を落とし気味に、居住区の方へ足を向けた。取り巻きの方を振り返りもせず、力がなさそうに「行くぞ」と声をかけると、取り巻きは舌打ちを残し、ぞろぞろとくっついて行く。
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趣味で文章を書き続けて8年くらい? の学生です。
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