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マリオ真章 #200(LR_16)

<こちら、レーダー班。中尉、どうぞ>
「ああ、忙しい所すまない。海中の生存者だが、本艦の進行方向から何時の方向にいる?」
<生存者ですね>
 男はヘッドセットに手をやり、小声で2、3回通信すると即座に顔を上げた。
<生存者は、3時の方向、距離およそ30>
「3時の方向、30だな」
<はい>
「分かった。ありがとう」
 通信を切り、今度は外部スピーカーに切り替えた。覡の抗議を耳に入れつつ、コンテナにかかった布を外した。コンテナの中には、ロープが一式と救命ボートが2、3入っていた。
「戒、救命ボートにロープを通せ」
「は、はい」
 戒は、コンテナの中から救命ボートを取り出して、端っこに突き出た専用の金具にロープを通した。2回、3回と巻き付けて固く締め付けた。
「覡、お前はロープの一端をあそこに結びつけろ」
 ロープ巻き上げ装置を示すと、覡は渋々といった感じで、ロープから戒の手が離れるのを待った。作業の完了を確認すると、走って巻き上げ装置へ向かう。こちらもすぐに、作業が終わるだろう。
 僕は視線を上げ、<ブーツ>の機体を持ち上げた。3時の方向、距離30の位置を確かめる。肉眼ではハッキリとは分からない。光学モニターに目を落とし、画像を拡大させる。解像度を上げると、波間に揺れる赤いジャケットがはっきりと確認出来た。
 艦の速度を考えると、これ以上モタモタしているわけにはいかない。
「覡、作業は済んだか?」
 巻き上げ装置の覡を振り返る。彼は両手で、頭上に大きな丸を作った。
「よし、二人ともコンテナの陰に隠れてろ」
 コンテナのそばにいた戒は、すぐさまコンテナの影に入った。覡も、上空から落下して来る破片を避けながら、コンテナの影に駆け込んだ。
 ロープの付いた救命ボートを<ブーツ>のアームで拾い上げ、風向きと潮流を考慮に入れて角度を調整し、海中へ投げた。救命ボートは、救助者の向こうへ着水し、波に揺られながらその手元に近づいていった。
 救命ボートを掴んだ救助者は、ボートの中に体を落ち着けた。<ブーツ>でロープを引っ張るために軽く握り直した所で、「彼」は紅白の旗を交差してこちらに向けた。
 その意味に困惑し、操縦桿に手を置いたまま見つめていると、彼は背中を向けて海面へかがみ込んだ。右肩を下げると何かを掴んだらしい。ボートが傾くのも構わず力一杯に体を反らした。引き上げられた「何か」とともに、ボートの中央へ収まった。
<隊長、早く!>
 覡の声が、鋭く突き刺さった。
「分かっている」
 操縦桿を握り直し、レバーを思いっ切り手前に倒した。<ブーツ>の両アームが勢い良く後退し、ボートを引き寄せる。勢い良く引っ張り過ぎたのか、ボートの中から救助者が飛び出した。
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趣味で文章を書き続けて8年くらい? の学生です。
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