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マリオ真章 #207(LR_23)

 機体の情報を呼び出し、無反動砲が装備されていることを確かめた。その持ち手を掴ませ、機体を下方に押し付けた。そこから、斜め後方へ飛び上がった。両膝のアクチュエーターが悲鳴を上げ、赤いパタパタの集団は自分達のフィールドの獲物がかかったと、徒党を組んで向かって来る。
 防御砲塔が、弾をバラ撒きながらパタパタを追い掛けても、全体の1割も落とせない。モニターとレーダーを埋め尽くすだけの赤い、不気味な見た目の飛行体が真正面から突っ込んで来る。
 無反動砲の弾は、予備を合わせて2発。無駄には出来ない。
 肉薄する集団の先頭が、<ブーツ>両アームの内側に入った辺りで一発。砲身の前後方から同時に、ほぼ同程度の加重が発生するものの、機体は反動で僅かに後退。下方に押し込まれる。
 先頭集団の前から3割くらいは、跡形もなく吹き飛んだ。その後ろに控えていた機体群にも、何らかの損傷は与えられたようだ。被弾した箇所に応じて、肉塊にも似た装甲が焼け落ちている。飛行性能も落ちたのか、当初のような勢いは感じられない。
 正面の敵に対して安心したのも束の間。上空から火の光を遮って、集団が機首をこちらに向けて突っ込んで来た。無反動砲で動いた分も計算に入れ、機関銃の砲塔を向けながら、正確に追跡する。
「させるものか!」
 無反動砲をそちらに向け、2発目の砲弾を装填しかけた所で、機内に警報音が鳴り響いた。レッドアラート。左右両サイド、そして先程の集団とはまた別の高度を飛来して来た正面の飛行団から、一斉にレーザー照射を受けている。レーダーにはすでに、ミサイルが数発発射されている様子が写っていた。
「くそっ、たれぇ」
 足場がない。方向転換は不可能だ。
 シートのヘッドレストに頭を固定し、スラスターをフルに入れる。強いGが体をシートに押さえ付け、機体は正面の機体に向かって急加速。既発射のミサイルが躱せたことをレーダーで確かめ、正面の機体群の鼻先に出た所でスラスターを緩めた。
 <ブーツ>の左脚で一機、右脚でもう一機踏み付け、パタパタを足場に機体を上昇させた。中空に躍り出た勢いを殺さぬよう、そのまま機体を回転させてスラスターの噴射口を狙いの位置に落ち着かせる。
 上空から落下して来た機体は、一連のアクションに動じることなく、速度を上げながら突っ込んで来る。まるで、その機体ごとぶつかって来るかのような勢いがあった。
「特攻なんてのは、時代遅れなんだよ」
 機体の上半身に合わせて、<ブーツ>の下半身が回転を終える。じわじわと落下が始まりかけた所に、丁度良い足場のパタパタが後ろから飛んで来た。<ブーツ>の両足で捕え、思いっ切り機体を蹴り出した。
 <ブーツ>は再度中空に機体を踊らせ、全身にレーザーの照射を受け止める。スラスターを開き、レーザーを振り切るようにハッチへ向かった。上空から飛んで来た機体と、僕を追い掛けて来た飛行団が鉢合わせ、互いに機体をぶつけ合って沈黙した。
 レーダー上の点がさっきの6割程度に減って、にぎわいは落ち着いた。それでも左右両サイドからは依然、しつこい追っかけがラブコールを送りつけて来る。
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ども。仮面ライターです。
趣味で文章を書き続けて8年くらい? の学生です。
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