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マリオ真章 #208(LR_24)

 ロックオンによる警報音は、恐らく鳴り止むことはない。加減速でミサイルを振り切ってハッチまで辿り着くには、数が多すぎる。残った無反動砲の弾は、先程のドタバタで装填してしまった一発のみ。
 左右の機体は、わずかな時間差を付けてミサイルを発射した。スラスターを全力で吹かした所で、推力も軽さもある向こうの方が早い。単純な速度の勝負が無理なら、残った一発で勝負をかけるべき、か。
 レーダーのミサイルを示す白い点を見つめながら、スラスターを落として機体を回転させた。無反動砲を持った上半身が近付いて来るミサイルに対峙し、メインモニターには徐々に大きくなる凶弾が2、3発、はっきりと見えた。
 相対速度を考慮に入れても、時間にして数秒。呼吸で言えば、2、3回で機体とミサイルは接触するだろう。無反動砲を構え、スコープを引き寄せた。十分な狙いは必要ない。先頭のミサイルに当たることを祈って、引き金を引く。
 無反動砲の大きな砲弾が、近付いて来るミサイルに押し負けながらも炸裂した。3発のミサイルと1発の砲弾との熱を合わせたエネルギーが、<ブーツ>を一気に下方のハッチへ押し流す。
 あと少し。着地を誤らないよう、微調整をかけて着艦する。
 レーダー上の敵機は、防御砲塔に応対して艦から離れつつある物の、最接近を試みている。空になった無反動砲を放り捨て、<ブーツ>の足を動かした。
 細かな凹凸の多い甲板の上では、スラスターを吹かしても速度が出しにくい。そうかと言って、<ブーツ>を走らせた所で脚部の逆関節はスムーズな走行を約束しない。小刻みな上下動を繰り返しながら、艦内へ急ぐ。
 メインモニターは、ハッチがあと2、3歩であることを示していた。レーダーと警報装置は、敵機の接近と攻撃が間もないことを伝えてくれる。手元に獲物はない。足を止めればその分、的になる確率も高くなる。
 反撃を考える思考を振り切って、ハッチに向かう。警報音の間隔が徐々に短くなる。空気を切り裂く音でミサイルは、すぐ後ろ。ここまでか――。
<中尉!>
 モニターへ視線を向けると、ハッチの手前で一体の<ブーツ>がアサルトライフルを構えて立っていた。
<伏せて>
「――!」
 <ブーツ>の姿勢を低くして、ハッチの中へ機体を投げた。アサルトライフルから放たれた銃弾は、<ブーツ>の上をかすめ、ミサイルを撃ち落とした。そこから銃を握り直し、接近していた敵機を2機とも撃墜した。
 その機体が格納庫の中へ入った所で、ハッチが閉じた。
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