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マリオ真章 #216(LR_32)

「そう、かもな」
「そうです。整備員はこれが仕事なんですから、気にせんで下さい」
 グリーンバーグは、首から下げたタオルで額を拭った。その視線は、ずっと作業員の方へ向けられている。
「そうだ、昨日の伝言は聞いたか?」
「ええ。聞きましたよ、ライディースから」
 忙しなく顔を左右に動かし、声に出さなくてもその指、その目で部下に指示を出しているらしい。
「それで?」
「言われた通りに。小坊主どもでしたけどね。アレくらいが丁度良い」
「そうか?」
「指示通りにキビキビ動く。技術はありませんけどね。いい整備員でしたよ」
「そうか。それなら良かった」
 グリーンバーグは、さらに大きくジェスチャーをし始めた。その声も段々大きくなり、今にも怒鳴り始めそうな雰囲気だ。
「飛行班の連中も、こき使ってやってくれ」
「ええ。もちろん」
 そう言った次の瞬間、彼の雰囲気が変わった。和やかな空気が一気に吹き飛び、殺気にも似た緊張感が、一点へ向かって突き刺さる。
 その視線の先にいたのは、パイロットスーツを上半分脱いだ姿のミヤモト。資材を運搬していたのか、その足元に金属らしき固まりが見える。彼はそれを足元に置いたまま、その場で汗を拭っている。
 グリーンバーグの表情が、一気に変わった。距離を取るのは間に合わない。その場で耳を塞ぐので精一杯だった。
「くぉぅら、ミヤモトぉっ! 通路に資材を置いて休むなぁ!!」
 グリーンバーグの怒鳴り声に、辺りの空気が震えた。作業員の手が止まり、その視線がミヤモトとグリーンバーグに集中する。一瞬の静寂の後、自分達でないと分かると作業が再開され、騒々しさが再び辺りを包んだ。
「何度言ったら分かるんだ。安全第一を叩き込んでやる!!」
 グリーンバーグの怒鳴り声に、すっかり表情を凍り付かせたミヤモト。グリーンバーグはそれで許さず、徐々に間合いを詰めて行く。この後、ミヤモトに何が起きるかは見ないでやろう。
「ライディース」
 指示書を見ながら、主にメンテナンスベッドの移動を指示していたライディースは、顔を上げてこちらを向いた。
「邪魔をした。僕はこれで」
「いえ。また、いつでも――いや、今度は忙しくない時にでも来て下さい。ゆっくり応対出来ると思いますので」
「分かった。楽しみにしてるよ」
 ライディースに手を上げて挨拶をする。向こうも手を上げて挨拶を返すと、次の瞬間には作業へ戻っていた。
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趣味で文章を書き続けて8年くらい? の学生です。
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