FC2ブログ

マリオ真章 #218(LR_34)

 目の前のキャットウォークに上がり、少し行くとすぐに階段になっていた。艦の後方、中層部に通じる階段のうちの一つ。これを上がれば、医務室が近い。
 被弾する可能性の高い艦首側に医務室があるのは、格納庫が傍にあることが原因。<ブーツ>の乗組員が戦闘の根幹をなす<マリンポップ>では、格納庫と医務室は近い方が良い。
 格納庫を艦の後方へ持って行くことも出来たが、それでは戦闘に素早く反応出来ない。そのため、必然的に医務室も前方に持って来ることになる。
 本格的な戦闘がほとんど無い今は、この格納庫と医務室を繋ぐ通路は、ほとんど汚れていない。
 脇の通路に入り階段に足をかけると、上の方から消毒液のアルコール臭が漂って来た。一歩進めるごとに、徐々にイヤな臭いが強くなる。
 段々、足を進めるのもイヤになって来たが、ここで引き返す訳にも行かない。昨日運び込まれた二人のことを、少しでも聞いておく必要がある。
 ポケットからハンドタオルを取り出し、鼻と口を覆いながら、何とか医務室の前まで辿り着いた。「第一医務室」と看板が着いている部屋の入口は、少し開けてあった。
 文句の一つでも言ってやろうと思ったが、戸口に立った所であの女と目があってしまった。
「あら、中尉……さん?」
「ああ。そういう君は」
 「誰か」と言いかけた所で、アルコールの臭いが鼻をついた。消毒液の臭いというよりは、酒のそれに近い。
 「よぷに」とかかれたネームプレートを付けた女は、さして僕に注意を払うことなく、部屋の真ん中、ベッドの方へ視線を向けた。
 何があるのかと思い、そちらに目をやると、すっかり回復したらしい2人と<グリーン2>に乗っていた男の3人が、大きな男と談笑していた。その男の手にあるのは、日本酒のそれらしきビン。
「お、ヨコイ殿。中々いける口ですな」
 「横井」は、昨日<グリーン2>に乗っていた男。やや細い印象を受けるが、怜悧な目が強さを思わせた。だが、その目も酒の力で徐々に強さを失って行っている。
 横井から杯を受け取ったのは「山内」。死んだと思われたが、無理矢理引っ張り上げられて回復を遂げた者。その身体は強靭な生命力を感じさせ、むき出しになっている両腕は妙に艶めいて見えた。
 山内も、大男から酒を傾けられ、横井と同じく一気に飲み干した。
「おお、ヤマウチ殿もやりますな。お次はもちろん、イワタ殿ですぞ」
 大男は、山内から杯を貰い受け、正面に座っていた男へ手渡した。並々と酒を注ぎ、一気にあおらせる。
 イワタは酒でむせたのか、吹き出しはしなかったものの、その場で咳き込んだ。
スポンサーサイト



comment

管理者にだけメッセージを送る

プロフィール

Maskedwriter

Author:Maskedwriter
ども。仮面ライターです。
趣味で文章を書き続けて8年くらい? の学生です。
どうぞよろしく。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード