FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

マリオ真章 #220(LR_36)

 ゴジータは酒ビンをよぷにに手渡し、上着のシャツを脱いだ。タンクトップになった彼の身体は、いかに鍛え上げられているかが良く分かる。
 彼は一歩前に歩み出て、間合いを詰めた。
「やろうと言うのか?」
「貴殿がそのつもりなら、いつでも」
 ゴジータは右腕に力を込めた。丸太ほどの上腕二頭筋が、さらに膨れ上がる。
「戦いというのは、筋肉でするもんじゃない」
「ほぅ、分かっておられますな。じゃあ、やりましょうか?」
 彼は右脚を引いて半身になり、膝を軽く曲げて腰を落とした。素早い体重移動、筋肉だけの男ではないようだ。その全身にたぎる力が、ぐっと足元へ押し付けられる。合図さえ出せば、今にも飛びかかって来る勢いだ。
 気圧されぬよう睨んでみたが、このまま黙っていても、にっちもさっちもいかないらしい。緊張を解いて、軽く右手を上げた。
「止めよう」
「おや、逃げるのですかな」
「逃げる? 誰が」
 間合いを計るためにつき出された、ゴジータの左手の前に身体を進める。軽く曲げたその腕、その肘が少しでも動けば脳震盪は免れない。
 だが、ゴジータは一向に動く気配がない。呼吸すら止めて、こちらの出方を伺っている。
「お前のためだ」
「私の?」
「そう、お前を地下の営巣に入れないために、止めようと言っている」
「一体、何を」
 ゴジータはキョトンとした表情で、僕を見つめた。
「僕は、お前の上官」
 力が抜けているゴジータの左拳を避け、さらに懐へ進む。ゴジータの視線が下へ向かう。僕は鳩尾の前で歩みを止めた。
 彼の目には、肩の階級章がしっかりと見えていることだろう。
「<マリンポップ>、当艦の艦長だ」
 驚いたような吐息が、頭上で漏れた。その表情を見れないのは、少し残念だが、あえて無視した。真っ直ぐに伸ばした右拳を、鳩尾に置く。
「喧嘩をしたいのなら、いつでも言え」
 軽く拳を引き、音がするかしないかの極弱い力で、鳩尾を打った。
「すぐに営巣入りだ」
 笑顔を作って、上を向いた。ゴジータは顔を引きつらせて、固まっていた。しばらくすると、徐々に顔を緩めながらぼそりと呟いた。
「は、はい」
 ゴジータの身体が、徐々に構えを解いて行く。僕はそれを最後まで見ないで、踵を返した。
スポンサーサイト

comment

管理者にだけメッセージを送る

プロフィール

Maskedwriter

Author:Maskedwriter
ども。仮面ライターです。
趣味で文章を書き続けて8年くらい? の学生です。
どうぞよろしく。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。